閉幕のご挨拶
池亀三太より
- 6週間に渡って開催しました「佐藤佐吉演劇祭2022」、無事に幕をおろすことができました。
ひとえに、ご支援・ご協力いただきました皆様、地域の皆様、参加団体キャスト・スタッフの皆様、そしてご来場いただきましたすべての皆様のお陰です。 心より御礼申し上げます。
「無事に」とは言いましたが、参加作品の中には新型コロナウイルスの影響により、出演者の降板・交代や、複数ステージの上演中止を余儀なくされた公演もありました。
それでもすべての公演の上演が実現でき、無事に演劇祭を完走できたことにホッと胸を撫でおろしています。続きを読む
- 2年前の2020年春、日本で新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃と時を同じくして開催中だった「佐藤佐吉演劇祭2020」。未知のウイルスの脅威の前に私たちは演劇祭を中止する決断をしました。
当時の参加団体に対して、中止の判断がもたらした影響について考える日々は今でも続いています。
あの時の上演の中止と同時に、今でも足を止めてしまっている団体があるのも事実です。
コロナ禍での苦しい劇場運営を続けていく中で、同じように苦しんでいる若手劇団の方々の声を間近で聞いてきました。未だウイルスの影響が衰えない中で、私たちに今できることは何かを思考し、挑戦の気持ちで、佐藤佐吉演劇祭2022は動き始めました。
佐藤佐吉演劇祭2020の際に、演劇祭が未知なる若手との新たな出会いの場になること、未知なる者たちがステップアップし、演劇シーンを席巻していくきっかけの場になることへの期待を込めて、キャッチコピーを『ワレワレのターン』としていましたが、その意思を引き継ぐ形で、佐藤佐吉演劇祭2022のキャッチコピーは『ワレワレのリターン』としました。
これには、演劇が劇場に戻ってきたという喜びと、若手団体が不遇の時代をサバイブしてまた劇場の新しい作品を上演するために戻ってきてくれるという期待の気持ちを込めました。
劇場に、俳優・スタッフが集い、彼らの演劇を観るために観客が集う、あの頃当たり前だった光景がまた少しずつ戻ってきました。
以前はなかった制限もあって、上演する側も観劇する側も窮屈な思いをする瞬間はありますが、それでも劇場という場所に人が集まり、笑いや感動その他もろもろ、様々な感情で劇場空間が満たされること、それだけでも、今回の演劇祭開催は小劇場演劇にとって着実な一歩になったと自負しています。
挑戦はまだまだこれからです。
もっと自由で安全な形で上演・観劇できる日までの道のりは想像するよりも、もっともっと長いのかもしれません。
それでも、これからの日本の舞台芸術文化を盛り上げていくであろう新しい才能たちが、飛躍するための一助となれるよう、演劇祭の開催や若手支援という形で、東京都北区王子の地で演劇を炎を絶やさず燃やし続けていければと思っています。
私事ですが、この演劇祭をもちまして佐藤佐吉演劇祭 実行委員長ならびに、王子小劇場 芸術監督の退任となります。これからは、いち演劇ファンとして佐藤佐吉演劇祭や王子小劇場での上演を楽しみたい思います。
またきっと、演劇を愛する者同士、正体不明の若手劇団の噂を聞きつけて、劇場という空間で居合わせる日があるかと思いますので。
どうか皆様もお元気で。
佐藤佐吉演劇祭実行委員会
実行委員長 池亀三太 - 2年前の2020年春、日本で新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃と時を同じくして開催中だった「佐藤佐吉演劇祭2020」。未知のウイルスの脅威の前に私たちは演劇祭を中止する決断をしました。